在宅生活における「食」の健康課題とその解消法について

テレビや雑誌などで広く活躍されている管理栄養士で医学博士の本多京子先生。今回は、在宅生活における「食」の健康課題とその解消法についてお話をうかがいました。


Q1 在宅生活が続く中、不安やストレスからくる過食や偏食によって体重が増えてしまった人も多いようです。

「体重の変動は、エネルギーの問題とみなすことができます。エネルギー収支の結果がプラスになれば体重の増加、マイナスになれば体重の減少につながっていきます。自粛生活中のリモート飲み会などで、動く量よりも食べる量のほうが多くなれば、使うエネルギーに比べ摂取するエネルギーが多くなるわけですから、それが体重に跳ね返ってくるのです。

できることなら食べる量を減らし、動く量を増やすといいのですが、今回のような自粛生活では外を出歩くことができません。したがって、食べることに関する管理能力が必要になってくるのかなと思います」


Q2 適性体重を保つためには、どのようなことを心がければ良いのでしょうか。

ダイエットだけではなく免疫力を保つためにも大事なのは、やっぱり1日3食を毎日規則正しく食べることです。同じ時間に起きて、同じ時間にごはんを食べ、同じ時間に寝る。その生活リズムが自律神経のバランスも整えてくれます。自律神経のバランスが悪くなれば、過食で肥満になったり、反対に食べられなくなったりする人も出てきます。

それに加えて『いつ』『どれくらい』食べるかという点もポイントになります。食べ方は、『朝はしっかり、夜は軽く』を心がけるのが肥満予防のコツです。朝食でとったエネルギーは効率よく使われますが、夕食のエネルギーはあまり使用されず脂肪として蓄えられやすいためです。


Q3食べる時間が大きく関係しているのですね。そのほかにはございますか?

ゆっくりとよくかんで食べることも大事です。胃袋がいっぱいになっても満腹中枢が刺激されなければ、脳は『おなかがいっぱいなった』とは感じません。食べ始めてから満腹中枢に信号が届くまでには30分ぐらいかかるといわれていますから、適度な量で満腹感を得るためには、時間をかけてよくかむことが大事です。

野菜を先に食べるベジファーストも、その点で役立つ食べ方の一つです。よくかまなくてはいけないものを最初に食べると満腹中枢が刺激されやすくなりますし、かみごたえのあるものは、おなかがいっぱいになった後よりもおなかがすいている時に食べるほうが、食べやすさの面でも理にかなっています。ただし、いくらベジファーストにしていても、時間をかけてよくかまなければあまり意味がありません。

ひとり暮らしで自粛生活が続けば人と話す機会も減ってきますから、口を動かす回数を増やすという意味でも、かむことが大切になってくるように思います。カリカリかんでおいしく食べられるような野菜料理も、一つの助けになるかもしれません」


Q4 よくかんで食べるような野菜料理としては、どのようなものがおすすめですか。

「たとえば、根菜類を使ったピクルスなど良いと思います。大きめにカットしたニンジンやカブ、カボチャ、レンコン、かみごたえのある根菜類をお酢に漬けてピクルスを作っておき、食事の前に出してきて食べるというのもよいと思います。

今は、時短料理で手間を省きたい、切るのも加熱するのも面倒、という人も増えていますから、切らずに使えてよくかむ必要がある切り干し大根もおすすめです。ざっと洗って水を切り、甘酢に漬けるだけでもおいしいですよ。

漬けるお酢に白だしを足せば、うま味が加わった和風の味になります。クミンシードやカレー粉でカレー風味にするのもいいですね。カレー粉を入れるとターメリックの黄色に染まって見た目もきれいですし、スパイスの香りもつくので、切り干し大根の日なたくさいようなにおいが苦手な人でも食べやすくなりますよ」

取材・文/木村恵理(オンライン取材)


管理栄養士・医学博士 本多京子先生

実践女子大学家政学部食物学科卒業後、早稲田大学教育学部体育生理学教室研究員を経て、東京医科大学で医学博士号を取得。テレビや雑誌、新聞、講演などで提案するレシピや健康と栄養についてのアドバイスには定評があり、スポーツ選手に対する栄養指導の経験も豊富。食に関する著書は60冊以上。

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