イメージ写真_東京農業大学名誉教授_小泉幸道先生_インタビュー中

感染症に負けない体を作るために役立つお酢のチカラ

「お酢博士」としてテレビなどでもご活躍されている東京農業大学名誉教授の小泉幸道先生に、病気に負けない体をつくるために役立つお酢の力についてお話をうかがいました。

Q1 感染症に負けない体を作るために役立つお酢のチカラにはどのようなものがありますか。

「酸っぱいものを口に入れると、唾液がたくさん出てきますよね。まず一つ、お酢には唾液の分泌を促す働きがあります。唾液にはリゾチームや免疫グロブリンなど多くの抗菌・抗ウイルス物質が含まれており、細菌やウイルスなどが体内に入るのをはばみます(※1)。

唾液の分泌量は加齢とともに減る傾向にありますが、酢の物を食べたり、5~8倍に薄めた杯1杯分のお酢を口に含んだりするだけでも唾液の分泌が促されます。また、かたいものを食べたときも、よく顎を動かすので唾液がたくさん出ます。食事の際は積極的にお酢を摂り、よくかんで食べることを心がけたいですね」

Q2 お酢をたっぷり使った唾液の分泌を促すレシピを教えてください。

「おすすめは、スティック野菜の甘酢漬けです。忙しい方や料理が苦手な方でも簡単に作れて続けやすく、かみごたえもあり、食物繊維を摂ることもできます。作り方は、リンゴ酢75ml、砂糖大さじ2と小さじ1、塩小さじ1を入れた保存容器に、スティック状に切った大根、キュウリ、ニンジン各50gを立てて入れ、冷蔵庫で一晩冷やすだけ。

一度作れば2~3食分になりますので、冷蔵庫に保存しておいて、食卓の一品として保存容器ごと出してください。お酢に砂糖を加えて作る甘酢は、酸味が比較的穏やかなので、酸っぱいものが苦手な方でも気軽に楽しむことができます。我が家では常にこれが冷蔵庫に入っています」

サブ画像_スティック野菜の甘酢漬け

Q3 お酢にはカルシウムを吸収しやすくする働きもあると聞きました。上手にカルシウムを摂るコツを教えてください。

「カルシウムには、免疫の働きを左右する自律神経のバランスを整える効果が期待できます(※2)。カルシウムを効率よく摂る料理としておすすめなのは、お酢を加えた貝のみそ汁です。

お酢を入れた水で殻つきの貝を煮ると、貝殻に含まれるカルシウムが煮汁に溶け出すため、お酢を加えずに作った場合の3倍以上のカルシウムを摂取することができます。この量であれば、お酢を入れても酸っぱさは全く感じません。出来上がったみそ汁にお酢を加えるのではなく、お酢を入れてから8分間弱火で煮ることがポイントです。

ほかにも、骨まで食べられる小魚の南蛮漬けや、牛乳にお酢を加えたヨーグルト風の酢ミルクもおすすめです」

お酢を加えた貝のみそ汁

材料(1人分)

  • 水……200ml
  • 殻付きのシジミ(アサリに代用可)……50g
  • お酢……大さじ1と1/2(7.5ml)
  • 味噌……小さじ2(10g)

作り方

  1. 鍋に水とお酢、殻付きのシジミを入れて8分間弱火で煮る。
  2. 火を止めて2~3分おき、味噌を溶かし入れる。

Q4 お酢が持つ健康によい働きについて、もう少し聞かせていただけますか。

「糖尿病や心臓病などの基礎疾患がある人は、感染症にかかりやすいことや感染すると重症化するリスクが高いことが指摘されています。また高血圧自体は免疫力を低下させないものの、感染症にかかると重症化しやすいこともわかってきました。お酢はこうした基礎疾患の予防にも役立ちます。

お酢に関する研究結果では、1日大さじ1杯のお酢を6週間とり続けることで、高めの血圧が低下することが確認されています。ただし、お酢の摂取をやめると血圧は元に戻ってしまいます。さらに、糖尿病の発症につながる食後の急激な血糖値の上昇(※3)を抑える効果もあります。

肥満気味の方の内臓脂肪を減少させる効果も見逃せません。内蔵脂肪型肥満は、高血圧、高血糖、脂質異常症のうちの二つ以上が重なるとメタボリックシンドロームと診断され、動脈硬化などの発症リスクが高くなります。ある研究では、大さじ1杯のお酢を毎日12週間とり続けることで、内臓脂肪が約5%減少しました。また同じ研究によると、血中中性脂肪の値も12週間後には約18%低下しています。お酢の主成分である酢酸には、脂肪の合成を抑制し分解を促す働きがあり、この作用が内臓脂肪や血中中性脂肪の減少に関与しています。

このようなことから、大さじ1杯のお酢を毎日摂り続けることは、健康に欠かせないものといえます。」

Q5 大さじ1杯のお酢を毎日継続して摂るおすすめの方法を教えてください。

「大さじ1杯分を必ずしも一度にとる必要はありません。大さじ1杯の15mlを3食に分けて5mlずつとってもいいですし、朝と夜に半分ずつ、10倍ぐらいに薄めて飲んでもいいわけです。苦痛になるような摂り方をすると、続けにくくなってしまいます。各自の食生活に合わせて、無理なく摂るのが一番だと思います。

簡単でおいしい飲み方としては、グラスに黒酢大さじ1を入れ、レモン汁大さじ1/2と水120mlを注ぎ、はちみつを入れて作る黒酢はちみつレモンもおすすめです。黒酢に豊富に含まれるアミノ酸やレモンに多く含まれるビタミンC、さらに、はちみつに含まれるビタミン類やミネラル類、アミノ酸、ポリフェノールの効果で、免疫機能低下の防止や、老化予防、疲労回復、美肌なども期待できます。」

  • ※1 「歯・口の機能」厚生労働省 e-ヘルスネット
  • ※2 「ミネラル・微量元素の栄養学」(鈴木継美,和田 攻/ 編),第一出版,東京,1994
  • ※3 IDF「食後高血糖の管理に関するガイドライン」2011年版より

撮影/梁瀬岳志
文/木村恵理

東京農業大学名誉教授 小泉幸道先生

1973年東京農業大学農学部醸造学科卒業。1997年東京農業大学教授に就任。専門は発酵食品学、醸造学(酢)で、40年以上にわたり食酢の研究を行ってきた。お酢に関する著書、監修書は多数に上り、「お酢博士」としてテレビ等でも活躍中。

記事の一覧を見る