イメージ写真_広島修道大学教授_多山賢二先生_インタビュー風景

お酢のダイエットパワー【後編】

お酢が持つさまざまなチカラやその応用に関する研究などに携わってこられた広島修道大学教授の多山賢二先生。今回は、高めの血圧を下げるお酢の力を調べた研究など、ダイエット以外にも役立つお酢の可能性について、お話を伺いました。

Q1 お酢に高めの血圧を下げる力があることを証明した研究について、教えてください。

イメージ写真_瓶に入ったお酢から杓子でコップに注ぐ

「私が関わった臨床試験(※1)では、血圧が高めの男女64名にお酢15mlを含む飲料、もしくはお酢を含まない飲料を10週間、毎朝飲んでもらいました。その結果、お酢を含む飲料を飲んだ人たちは、お酢を含まない飲料を飲んだ人たちと比べて血圧が低下したことが確認できました。平均低下率は最高血圧が6.5%、最低血圧は8.0%でした。

血圧の低下率はお酢を飲み始める前の血圧が高い人ほど大きく、少し高めという程度の人はゆっくり低下していく傾向にありますが、どちらの場合も最高血圧が120〜130mmHg程度まで下がると横ばいになります。また、健康な人や低血圧の人がお酢を飲んでも、大きな血圧の変化はみられません。このように毎日お酢を飲み続けると高めの血圧を下げる効果が期待できますが、健康的な血圧まで下がるとそれ以上は下がらないことが分かっています。

この研究では、毎日お酢を飲んだ人たちの約7割に血圧の低下がみられましたが、残りの約3割の人たちの血圧はほとんど変化しませんでした。どのような人に効き、どのような人に効かないのかは分かっていませんが、このように効果には個人差があります。

新しい視点での興味深い試験として、朝お酢を飲んで、翌日の朝(お酢を飲む前)に血圧を測っても下がっていなかったという高血圧の人が15週間毎日お酢を飲み続けたところ、飲んで1日経過した時の高い血圧が、少しずつ低下したというデータもあります。ですから、1日中、血圧を下げたいと思っている高血圧の人は、4か月以上飲み続けてもらうと、以前よりも低い血圧を終日維持できる可能性があります」

Q2 お酢は、どの時間帯に摂るのがよいでしょうか。

「64名が参加した先ほどの試験では、朝起きてすぐにお酢を飲んでもらい、その2時間後以降に血圧を測っていますが、高めの血圧をすぐに抑えるお酢の力は4時間程度しか持たないというデータがあります。お酢は体内で速やかに代謝されるため、急性の効果を期待しても、それ以降は血圧が戻ってしまうのです。

その点からすれば、夜中に血圧が高くなりやすい人は夜寝る前に、午前中に血圧が上がりやすい人は起きてすぐにお酢を摂るのがよいと考えられ、これら急性の降圧作用は2週間継続摂取以降に期待できます。

一方、先ほどの別の試験のように、お酢の慢性の効果を期待するのであれば、朝昼晩のいつでもよいので、とにかく継続して、お酢を摂るようにしてください。身体全体の血圧を調節する仕組みに、お酢が働きかけるには、長い時間が必要ということです。

また、食後の血糖値上昇を抑える効果を期待する場合も、食事の前、もしくは食事と一緒にお酢を摂るようにしてください。料理の中にお酢が入っていれば飲み忘れることもないので、お酢料理として摂取するのもおすすめです」

Q3 お酢の種類によって、効果に違いはありますか。

「黒酢などはいろいろな成分が入っているので効果が高そうなイメージがあるかもしれません。けれども動物実験によって、お酢の成分である酢酸だけを摂取した場合と黒酢を摂取した場合で血圧を下げる効果を比べた結果、差がないことが分かっています。血圧が高めの人が参加した試験でも、黒酢とりんご酢を比較したところ、血圧を下げる効果に全く違いはありませんでした。

普段使っているお酢でも酢酸が入っていることに変わりはないため、わざわざ高いお酢を選ぶ必要はありません。お酢の健康効果は種類に関係なく期待することができます。私は飲みやすいという理由でリンゴ酢を飲んでいますが、穀物酢でも構いません。

自分で薄めて飲む場合はどんなお酢でもよいのですが、市販の食酢ドリンク(清涼飲料水)を購入して飲む場合は、含まれているお酢の量(ml)や酢酸の量(mg)をよく確認するようにしてください。健康効果を期待して飲む場合は15ml以上のお酢(酢酸として750mg以上)を毎日摂り続けることが大切です。飲みやすいと思っていたら微量しかお酢が含まれていなかったということもあるので、気をつけてほしいと思います」

Q4 自宅でおいしくお酢が飲めるおすすめの方法があれば、教えてください。

イメージ写真_コースターに乗せたコップに入ったお酢ドリンク

「私は、夏であれば、スポーツドリンクで割って飲んでいます。スポーツドリンクはミネラルが多く入っていて、お酢を混ぜても酸味を感じにくいので、夏の水分補給としてもゴクゴク飲むことができます。また、殺菌乳飲料で薄めて飲むのもおすすめです。お酢と乳酸は相性がよく、甘みで酸味が抑えられるため、爽やかで飲みやすいドリンクになります。

それ以外の季節は、野菜ジュースや果実ジュースに混ぜて飲むことが多いですね。特にピンクグレープフルーツジュースは、お酢で割ると味が濃く感じられて元のジュース以上においしく飲むことができるので、ぜひ試していただきたいと思います」

参考文献:
1)「食酢配合飲料の正常高値血圧者および軽症高血圧者に対する降圧効果」(健康・栄養食品研究 6(1):51-68 2003)

撮影/上内 かなえ
文/木村 恵理

広島修道大学 健康科学部 教授 多山賢二先生

1980年山口大学大学院農学研究科農芸化学専攻修士課程修了、1993年東京大学大学院にて博士号(農学)を取得。食品企業の研究員、短期大学の教授を経て、現職。主な研究テーマは酢酸菌の応用や食材の物性解析で、食酢および酢酸菌に関する著書・論文・特許・学会発表は多数。2007年日本農芸化学会技術賞受賞。NHK―BSプレミアムなどメディアでも活躍中。

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