在宅生活中の心の負担を和らげる「食」の工夫について

テレビや雑誌などで広く活躍されている管理栄養士で医学博士の本多京子先生。今回は、在宅生活中の心の負担を和らげる「食」の工夫についてお話をうかがいました。

Q1 在宅生活における食事作りのポイントを教えてください。

「毎日自宅にいて3食作らなくてはいけないとなると、どうしてもチャーハンやオムライスのように一品で済ます料理が多くなってしまいます。でも、一皿料理は短時間でかき込むように食べてしまうため食べ過ぎやすく、栄養のバランスも取りにくい。そこで大事になってくるのが『副菜力』です。

めんつゆで煮たヒジキなどあまり手のかからないものを作り置きしておいて、それをちょっとアレンジした一品をプラスするんです。5分で食べられる単品に副菜が加わればバランスも良くなるし、食事の時間が長くなることで満腹中枢が刺激されやすくなり、食べ過ぎも防げます。シンプルな作り置きの使い回しは、手間を省くことができるだけでなく、どうアレンジするかを考えることが脳の活性化にもつながります」

Q2 心を軽くしたりリラックスしたりするのに役立つレシピはありますか。

「自粛生活で鉢植えのハーブや野菜の人気が高まっているそうですが、家の中でも育てることができて使う機会が多いハーブといえば、バジルです。葉の部分はパスタやサラダに使ったりすると思いますが、残った茎は米酢に漬けておくのがおすすめです。茎は水分含有量が少ないので濁らずにおいしく漬かりますし、ハーブの良い香りがたくさん出ます。

こうして作ったハーブビネガーをベースにすれば、夏のさっぱりした料理やドレッシングも簡単に作ることができます。オリーブオイルを少し混ぜて冷たいパスタやそうめんに使ったり、お魚やお肉をソテーしてめんつゆを入れたハーブビネガーをかけたりすれば、低カロリーでおいしい減塩メニューになります」

Q3 バジルの他、ハーブビネガー作りに向いているのはどのようなハーブでしょうか。

一番簡単でおいしいのは、フルーツハーブティーで作るハーブビネガーです。ティーバッグ1袋をお酢に入れておくだけでいいんですよ。ティーバッグのハーブは細かく砕かれているので、2〜3時間おけば、加熱しなくても十分に成分が抽出されます。

使用するティーバッグは、ローズヒップとハイビスカスがベースのものがおすすめです。ローズヒップは『ビタミンCの爆弾』という別名があるぐらいビタミンCが多く、ハイビスカスにはクエン酸がたくさん含まれています。また、鮮やかな赤色は気持ちも明るくしてくれます。ピーチやベリーなども入っているフルーツティーを使えば、よりフルーティーなハーブビネガーになります。ティーバッグと一緒に数種類のドライフルーツを漬けてもおいしいですよ。

ハーブビネガーはいろいろな使い方ができます。スライスした大根に混ぜれば、洋風のメニューにもよく合う桜色のピクルスになりますし、蜂蜜を加えておけば、手軽に飲み物を作ることもできます。牛乳に混ぜるだけでできるラッシーは、酸っぱさを感じにくく飲みやすいので、小さなお子さんやお年寄りにも喜ばれると思います。

今年は猛暑になりそうだといわれていますが、暑い中マスクをして活動するとなると、心配なのが熱中症です。そんなときには、水1リットルにハーブビネガー大さじ3杯、小さじ半分の塩、蜂蜜やお砂糖20〜40gを加えると、熱中症予防のドリンクになります。ハーブの色と香りがさわやかで喉越しも良く、暑い夏にぴったりです

Q4 漬け込んだ材料を上手に使う方法はありますか。

「ティーバッグと一緒に漬けたドライフルーツは、クリームチーズと一緒にクラッカーに載せて口の中に入れると、フルーツチーズケーキの味になるんですよ。また、ドライフルーツは焼酎やラム酒をかけておけば半年程度保存できるので、ケーキやクッキーを作るときにも便利です。生のフルーツをむく手間がいらず、食物繊維をとることもできます。

ハーブ好きな方なら、ティーバッグではなくドライのローズヒップとハイビスカスでハーブビネガーを作るのもおすすめです。蜂蜜かお砂糖を加えたりんご酢にハーブを入れておけば、2週間ぐらいで食べられます。お酢の中で戻ったハーブは、裏ごしした後フルーツシュガーやお砂糖を足して混ぜるとジャムになります。このジャムは冷蔵庫で1か月程度保存が可能です」

取材・文/木村恵理(オンライン取材)

管理栄養士・医学博士 本多京子先生

実践女子大学家政学部食物学科卒業後、早稲田大学教育学部体育生理学教室研究員を経て、東京医科大学で医学博士号を取得。テレビや雑誌、新聞、講演などで提案するレシピや健康と栄養についてのアドバイスには定評があり、スポーツ選手に対する栄養指導の経験も豊富。食に関する著書は60冊以上。

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