イメージ図_血流促進

疲れやすい、だるい…を解消したい!原因は血行不良かも!?

「体がだるくて重い」「以前より疲れやすくなった」…、その原因は血行不良かもしれません。体の元気を保つカギとなる血流を改善して、「なんだか調子が悪い」毎日から抜け出しましょう!疲れやすさ・だるさと血流の関係、改善法を、総合内科医として循環器や生活習慣病まで幅広く精通している金沢医科大学の赤澤純代先生にお聞きします。

疲れやすさ、だるさを引き起こす血行不良

疲れやだるさが起こる原因は、ストレスによる自律神経失調や無理なダイエット、食生活の乱れ、不規則な生活などによるホルモンバランスの崩れなどさまざま。それらすべてに、血流が大きく関係しています。

「健やかな体を支えているのは、体をめぐる血流と血液成分、そして老廃物を回収し、免疫に関与するリンパ管です。血流が細胞や組織に新鮮な酸素を届け、老廃物を交換してくれることで体は健やかでいられるのです。

血行不良が起こる理由は、いろいろあります。なかでも疲れやだるさにつながりやすいのが、暴飲暴食、睡眠障害が原因で起こる血糖値異常、脂質異常、高血圧です。そうなると血管内皮細胞同士の接着がゆるみ、毛細血管が漏れやすい状態になります。正常であればスムーズに流れる血流が、漏れがあることで滞り、届けたい末端まで血液が届かないために酸素や栄養素、大切な薬の成分を届けられない状態に。

毛細血管のゴースト化と呼ばれるこの状態が起こると、周辺の細胞がダメージを受けてしまいます。これが疲れやだるさにつながるのです」

イメージ図_血管

疲れ・だるさを解消!血行促進する方法

そんな滞った血流を促し、疲れ・だるさを解消するにはどうしたらいいのでしょうか?

「まず大切なのは食生活の見直し。過度な糖質(アルコール、炭水化物、人工甘味料)や脂質、またアイスクリームなどの乳化剤が多く含まれるものは血行不良につながりやすいので、摂りすぎには注意しましょう。

生活の中でストレスになっているものを取り除くこと。精神的なストレスを感じていると、呼吸が浅くなって息を長く吐き出せない→息を吐けないから吸えない、という悪循環が生まれるため酸素をうまく取り込めない状態になります。また交感神経が優位になるため、血管が収縮して血流も悪くなってしまうのです。

リラックスして副交感神経を優位にすることで、血管がゆるんで血流がよくなり、深い呼吸ができて酸素が取り込めるように。さらに大笑いやウォーキングで血液の循環をよくすれば、細胞のすみずみまで酸素や栄養を届けられるようになります。

血管は毎日生えたり減ったりするもの。だから食事や呼吸、運動など、毎日続けることが大切ですよ」

step1.ストレス緩和

「ストレスを全くなくすことは難しいので、ストレスを緩和する方法を見つけましょう。ストレス緩和につながるのは、ドーパミンやセロトニンが出やすい状態にすること。楽しく会話をする、おいしいものを食べる、運動をしてリフレッシュする、といった方法がおすすめです」

step2.深く呼吸をする

「ストレス緩和につながるセロトニンは、息を吐くための筋肉をつかさどっています。そのため精神的ストレスがかかると呼吸が浅くなるのです。だからストレスを感じたら、意識的に息をしっかり吐くことが大切。口でフーッと息を吐ききり、鼻から吸う。そうすると酸素が取り込めて、細胞にもきちんと届けられるようになります。顔色が良くなったら、良い呼吸ができたと思ってください」

イメージ図_深呼吸している女性

step3.15分以上のウォーキング

「酸素を取り込んだら循環してあげることも大切。じわっと汗をかく程度の速足で15分以上ウォーキングすると、心臓のポンプ力を使って全身に血液が巡り血流が促進されます。そうして毛細血管の末端まで血流で酸素と栄養素を届け、きちんとリンパ管より老廃物を流して、新しい酸素と栄養分を届けることで、細胞のダメージを防ぐことができます」

イメージ図_ウォーキング

plus1.血管内皮細胞を活性化する食材をとる

「ウォーキングの休憩で飲むドリンクにおすすめなのがルイボスティー。血管内皮間の細胞壁の接着をコントロールするアンジオポエチン-1という成長因子に代わる植物エキスが含まれているので、毛細血管の漏れにも効果が期待できると思います。他にも、ヒハツや朝鮮人参、桂皮(シナモン)といった漢方にも同様の効果が期待できますよ」

イメージ図_漢方とお酢

以下のコラムの論文によると、お酢には血管内皮細胞の活性を高める作用があり、血流の改善が認められています。お酢を料理に活用したり、温かい飲み物に加えるなど、いろいろ試しながら健康的な血管を育ててくださいね。

<コラム>お酢で血流を促進することが明らかに!

閉経後の女性10名を、酢酸を含む飲み物(食酢)を飲むグループと、酢酸をほとんど含まない飲み物を飲むグループに分けて調査開始。4日間朝食で指定の飲み物を飲んでもらい、4日目に血流量を計測。すると食酢を飲んでいたグループのほうが、1.5倍以上血流量がアップしたという結果が!食酢の摂取には、血流の促進が期待できるとわかりました。

 

文/山本二季
イラスト/伊藤 絢

監修:金沢医科大学 総合内科 女性総合医療センター長、総合内科臨床教授 赤澤純代先生

金沢医科大学医学部、金沢医科大学大学院卒業。東京大学第三内科研究医を経て、東京大学先端技術研究所ゲノムサイエンス派遣研究員、2002年3月に石川県で初の女性外来を総合診療科にて開設。金沢医科大学病院21世紀集学的医療センター、生活習慣病センター、助手、講師を経て、2018年女性総合医療センターセンター長 総合内科臨床教授となる。著書に『温め、流し、排出する この3段階で若返る!血流美人』(ワニブックス)、『破れない!詰まらない!澄み切った血液は万病を治す』(ワニブックス)など。