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熱烈なマニア続出!?酸っぱうまい酸辣粉の魅力に迫る!

酸っぱ辛いスープにもちもちの極太春雨が絡み、一度食べたらやみつきになる人続出!?とウワサの酸辣粉(サンラーフン)をご存知でしょうか? 今回は、酸辣粉の魅力に迫るべく、中国重慶の郷土料理である激辛極太春雨・酸辣粉に魅了されて、日本で唯一の酸辣粉専門店をオープンした「辣上帝(ラシャンティ)」オーナーの田中久子さんに、酸辣粉の魅力について教えてもらいました。

酸辣粉とはどんな料理?

日本ではあまり馴染みのない酸辣粉ですが、実は中国ではとてもポピュラーな料理で、中国全土で食べられています。酸辣粉とは、酢と辣油、春雨(中国語で粉は春雨を指します)に、花山椒やそぼろ、ピーナッツなどをトッピングした激辛料理で、最大の特徴である茹で時間が20分かかるほどの極太春雨は、タピオカのようなもちもちとした新感覚の食感が楽しめます。さつまいもでんぷんでできた極太春雨のほんのりとした甘さが、酸っぱ辛いスープを引き立てます。

茹でる前の麺

酸辣粉でしか味わえない『酸っぱい×辛い×シビれ×もちもち』の四重奏

現地に何度も足を運んで本場の味を追求し、酸辣粉専門店をオープンしてしまうほど酸辣粉に魅了された田中久子さん。酸辣粉を知ったきっかけや、お店のこだわり、おすすめの食べ方についてお話を伺いました。

Q1. 酸辣粉を知ったきっかけについて教えてください。

「旅行で三国志のゆかりの地を巡るために訪れた重慶で酸辣粉に出合いました。元々辛いものが苦手だったので、酸辣粉のあまりの辛さにホテルのシャワーで麺を洗って食べたくらいでしたが(笑)、酸辣粉の独特の食感と酸っぱ辛いスープの今まで食べたことのない組み合わせがあまりにおいしくてハマってしまって。それからしばらく中国語も話せないのに酸辣粉を食べに毎月重慶を訪れていました。そのうち、どうにか酸辣粉を毎日食べられないかと思い、10年前に日本で唯一の酸辣粉専門店をオープン。中国の問屋にあるいろいろな春雨を食べ比べて、自分がおいしいと思ったいくつかの特徴を盛り込んだ春雨を国内で特注で作ってもらい、本場の味を再現しています」

Q2. 田中さんが作る酸辣粉をお目当てに、お店に何度も足を運んでくださるお客さまもいらっしゃると聞きますが、酸辣粉の魅力は何でしょうか。

「『酸っぱい×辛い×シビれ×もちもち』の四重奏は酸辣粉でしか味わえないと思います。酸辣粉を食べているときはあまりの刺激にいろいろなことを忘れてしまうので、ストレス解消に一役買っていたりも。脳科学的にも、辛いものを食べるとその刺激を緩和するためにβエンドルフィンなどの“幸せホルモン”を分泌すると言われていますしね。また、花山椒の発汗作用で汗だくになるので、当店では各テーブルにティッシュをご用意しています。

お客さまには1日2回ご来店くださったり、定休日前はテイクアウトをご購入くださる方や、山形や水戸など地方から毎週通ってくださる方も。初めて酸辣粉を食べて、あまりの刺激に『二度と来ません……』とおっしゃった方が、一ヶ月後にご来店することもあったり(笑)。初めからお酢好きというわけではない方も多いのですが、酸辣粉をきっかけに必ずと言っていいほどお酢好きになりますね」

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Q3 辛さは段階に合わせて何を変えているのでしょうか?また、おすすめの食べ方があったら教えてください。

「当店の酸辣粉の辛さは1〜5段階。880円〜1,230円までと辛さによって値段が異なります。初めての方には2をおすすめしています。辛さの調節は唐辛子の種類を変えていて、ハバネロやタバスコの200倍の辛さのジョロキアなどを使用しています。麺をすするとむせてしまうので、当店では『麺をすするのはNG』というルールがあります(笑)。水を飲むと辛さが増してしまうので、辛さをリセットできるラッシーなどミルク系の飲み物をおすすめしています。

フレッシュなイチゴの甘酸っさが人気のミックスベリーラッシー

また、トッピングにもこだわっていて、中国では青ねぎとパクチーが主流ですが、当店ではまろやかな口当たりになるチーズ、酸味をプラスするトマト、とろっとしたネバネバ感が麺に絡む納豆などもあります(各60円)。納豆はお客さまからの提案で取り入れたのですが、意外と合うんですよ!」

プラス60円でトッピング可。※パクチーのみプラス100円

Q4. 中国の他地域と重慶の料理の違いはどんなところでしょうか。

「四川省がルーツの重慶はとても暑いエリアなので、朝食のおかゆも唐辛子が入っているくらい、激辛料理が主流です。とにかく辛い! 辛さには浅漬け、古漬け、発酵した辛さなど7種類あるそうなのですが、いろいろな激辛料理を食べるうちに、違いがわかるようになりました。

重慶は酸っぱ辛い料理も多く、『酸っぱい×辛い』という組み合わせは日本にはない中国ならではの味の楽しみ方だと思いますね。酸っぱさだけではなく、辛さと組み合わせることで、それぞれのおいしさがより引き立ち、さらにお酢をたっぷりとることができるので、体も元気になれる気がします

また、あまり辛くない料理だと、日本のそばのような甘酸っぱい『冷面』という料理は重慶を訪れたら必ず食べるくらいおいしいので、おすすめです」

Q5 中国の黒酢と日本の黒酢の違いと、日本の黒酢を使う際のポイントについて教えてください。

「中国の黒酢はもち米で作っているのでまろやか。一方、日本の黒酢はシャープな風味が特徴です。中国の黒酢は業務用スーパーで購入できることが多いですが、日本の黒酢を使う場合は、量を減らしたり、ちょっと加熱して酸味を飛ばしたり、白酢や寿司酢などと合わせたりするとまろやかな風味になります。あとは、ポン酢などで代用してもOKです。

味の決め手になる黒酢は、酸辣粉には欠かせないパートナーのような存在ですね」


撮影/梁瀬岳志 取材・文/金井さとこ


田中久子 さん
日本で唯一の酸辣粉専門店『辣上帝(ラシャンティ)』の代表を務める。

辣上帝 (ラシャンティ)
〒154-0021 東京都世田谷区豪徳寺1-6-13
営業時間:11:00〜19:30(LO)
定休日:水・木曜日
https://www.lashangtea.com/
※店舗営業中は電話に出られないため、ご用の方はHPよりお問い合わせください。