お酢博士赤野さん×ベトナム料理研究家竹山仁愛さん スペシャル対談「世界のお酢 ベトナム編・前編」

さまざまな国や地域で親しまれているお酢の魅力を紹介する連載コーナー「世界のお酢」がいよいよスタート!記念すべき1カ国目は「ベトナム」。お酢博士の赤野裕文さんが、ベトナム料理研究家の竹山仁愛(ニア)さんにインタビューで伺った、ベトナムのお酢事情やお酢を使ったベトナム料理などのお話をたっぷりとご紹介します。

ベトナムではお酢は家庭で手作り

赤野さん

ベトナムではどんなお酢を使っているのですか?

竹山さん

ベトナムでは、お酢は家庭で手作りするのが伝統的です。材料は米、もち米、果物などを発酵させたものです。果物を使う場合、北部地方のハノイでは、バナナからお酢が作られることが多いですね。また、中部地方から南部地方ではパイナップル、りんご、梨、ドラゴンフルーツ、ココナッツジュースなどを使ったお酢が作られています。

赤野さん

お酢は手作りなんですね。
スーパーなどでお酢を購入することはありますか?

竹山さん

ベトナムには昔ながらの市場で買い物をする習慣がまだ残っています。ただ、市場で売られているのは化学成分が入った合成酢で、値段は安いものの健康にはよくないことが知ら
れているので、最近ではスーパーでお酢を買うようになってきているようにも思います。ベトナム製はもちろんですが、特に都会では日本製、アメリカ製、フランス製など、海外
製のものも含めて、色んなブランドお酢がそろっていますね。

赤野さん

ベトナムでも米酢が使われているとのことですが、日本のお酢とベトナムのお酢との違いについて教えてください。

竹山さん

ベトナムのお酢は日本より酸味が弱くまろやか。日本のお酢と違って、色も薄く、透明です。初めて日本のお酢を使って料理したときは、酸味が強かったので失敗したのかと思いました(笑)。なので日本のお酢を使うときは、水で半分薄めて使っています。一般的にベトナム料理での酸味の味付けは、お酢よりもライムやタマリンドなどの果物を使って味付けすることが多いですね。

朝食は屋台が基本!

赤野さん

ベトナムにはどんな食習慣があるのですか?

竹山さん

ベトナムの朝食は屋台で済ませるのがほとんど。また、田舎の方ではお昼ご飯を自宅に戻って食べる習慣がありますが、都会などのオフィス環境だとお弁当を持って行ったり、会社の食堂で食べたりと生活環境によって異なります。

赤野さん

朝食は屋台で食べることが多いのですね!ベトナムではお酢を使った家庭料理も多いのですか?

竹山さん

ベトナムでは生野菜をたくさん食べるのですが、何かに巻いて食べる習慣があるので、お酢を使ったつけだれは豊富。ベトナム料理はフランス料理の影響が大きいので、フレンチドレッシングなどをかけて食べたりもしますね。また、野菜はお酢と混ぜた水に浸けたり、洗ったりする習慣もあります。野菜が新鮮になりますし、殺菌作用もあるので、お肉や魚の臭みを取るためにも使われています。

赤野さん

ベトナムの食事には、お酢は欠かせない存在なのですね。

お酢は料理の酸味を楽しむもの


竹山さん

ベトナムでは、お酢は料理の酸味を楽しむものとしてよく使われていますが、実はお酢が健康によいということはあまり知られていないんです。健康のためにお酢を飲むという習慣もありませんし、日本のようなこだわりの強さはないと思います。

赤野さん

ベトナムは健康志向が強いだけにもったいないですね。健康のためにお酢をとるということがもっと多くの人に周知されるといいですね。

竹山さん

そうですね。私も日本に来てからお酢が健康によいことに気づいて、今では毎日お酢を飲んでいます。友人にも勧めているくらいハマっています。ベトナムでも日本食は健康によいというイメージがあり、日本食レストランも増えてきているので、日本食をきっかけにお酢が体によいということも知ってほしいですね。


竹山さんオリジナルの自家製フルーツビネガー

撮影/小野綾子 取材・文/金井さとこ

竹山仁愛(ニア)さん

ベトナム料理研究家。ベトナムのダラット出身。日本人のご主人と結婚後、10年前に日本に。ベトナム料理研究家・伊藤忍さんのもとで勉強し、東京都練馬区の自宅にて本格的なベトナム料理を伝える「NiaGohanベトナム料理教室」をオープン。

お酢博士 赤野裕文さん

山口県出身。広島大学工学部醗酵工学科卒業。1979年、㈱中埜酢店(=ミツカングループの以前の社名)に入社し、食酢の基礎研究やマーケティング、商品開発など食酢に関わるさまざまな分野を担当。2016年に㈱Mizkanを定年退職し、現在は食酢エキスパート社員として食酢の啓蒙活動を行っている。

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