

世界のうまずっぱい料理|アフリカ編
新しいおいしさに出会う「世界のうまずっぱい料理」アフリカ編のご紹介です。セネガル共和国と南アフリカ共和国。お酢を使った「アフリカの郷土料理」をおたのしみください。
セネガル共和国|ヤッサ



セネガルは、隣国のマリなどと同様、フランスの植民地だった時代が長い国。そのため料理もフランスの影響を受けて、マスタードやブイヨンなどヨーロッパの調味料がよく使われます。
ヤッサはセネガルやマリで食べられている、マリネした鶏肉とたまねぎの炒め焼き。酢またはレモンで酸味をきかせるのが特徴的です。酢(さわやかなりんご酢がおすすめ)の液で漬け込むことで肉が柔らかくなり、また酢によってたまねぎの風味を和らげる相乗効果があります。
シンプルな食材で手軽においしく作れるため、フランスをはじめ欧米でもっとも知られた西アフリカ料理のひとつとして人気があります。鶏肉のほか、羊肉や魚を使って作ることも。とうがらしの量はお好みで増やしてください。


- 鶏むね肉……2切れ
- マスタード……大さじ1
- にんにく……1かけ(すりおろす)
- 黒こしょう……少々
- 植物油……大さじ2
- たまねぎ……1個(スライス)
- 水……1カップ
- 固形または顆粒ブイヨン……1個(顆粒は小さじ2)
- りんご酢……大さじ2
- とうがらし粉……ひとつまみ
- 塩……小さじ1/2



マスタードとにんにくの半量、黒こしょうをボウルの中で混ぜ、鶏むね肉にまぶしてマリネする。冷蔵庫に1時間以上置いておく。


フライパンに植物油をひき、[1]の鶏肉をきつね色になるまで焼く。


[2]にたまねぎ、マスタードとにんにくの残り半量、水とブイヨン、りんご酢、とうがらし粉、塩を入れて30分ほど煮込んでできあがり。
南アフリカ共和国|ビネガー・プディング



17世紀からオランダやフランス、イギリスなどヨーロッパの人々が移住し、またアフリカ先住民やアジアからの移民らの伝統が混ざり合って独特な食文化を育む南アフリカ。
ビネガー・プディングは、ヨーロッパ移民の間で受け継がれてきた古典的なお菓子で、甘いシロップに酢を加えるのが特徴的です。ワイン入りシロップを使ったワイン・プディングが変化したものだとされますが、甘味に酢の酸味を組み合わせることで相互に中和されて味がまろやかになり、複雑なおいしさが生まれます。
また名前はプディングですが、やわらかいたまごのプリンではなく、スポンジのような生地にシロップを浸して食べます。
南アフリカの人々は、生地にも砂糖を加えるほどとても甘いプディングが大好きなのですが、ここではアプリコット・ジャムの味を生かして砂糖を控えたレシピをご紹介します。


- [シロップ]
- グラニュー糖……80g
- 水……120ml
- りんご酢……大さじ3
- バター……20g(常温でやわらかくしておく)+大さじ1
- たまご……1個(割りほぐしておく)
- アプリコット・ジャム……大さじ2
- しょうが……7g(すりおろす)
- 牛乳……40g
- 小麦粉……100g
- ベーキングパウダー……小さじ1
- 塩……小さじ1/2



シロップを作る。鍋にグラニュー糖、水、酢を入れてグラニュー糖を溶かしながら沸騰させ、5分ほど軽く煮詰める。火からおろして冷ましておく。


ボウルにバターを入れてクリーム状に混ぜ、割りほぐしたたまごを入れて、たまごが少しふんわりとするまで泡だて器でよく混ぜる。

[2]にアプリコット・ジャム、しょうが、牛乳を加えてさらに混ぜる。


小麦粉、ベーキングパウダー、塩をふるいにかけ、[3]に少しずつ混ぜ加えていく。


バター大さじ1を塗ったココット(直径10cm×2個)などの型に[4]の生地を入れ、[1]のシロップをゆっくりと上から流し入れる。


[5]を180度に予熱したオーブンで30分焼いて、できあがり。

監修:お酢博士 赤野裕文さん
山口県出身。広島大学工学部醗酵工学科卒業。1979年、㈱中埜酢店(=ミツカングループの以前の社名)に入社し、食酢の基礎研究やマーケティング、商品開発など食酢に関わるさまざまな分野を担当。2016年に㈱Mizkanを定年退職し、現在は食酢エキスパート社員として食酢の啓蒙活動を行っている。

監修:各国・郷土料理研究家 青木ゆり子さん
e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、世界の料理レシピ・ライブラリー&サロン運営。
2000年に世界の料理総合情報サイトe-food.jpを創設。エッセイスト、レシピ開発、食文化講師、シェフ等として活動。世界各地で取材した郷土料理の魅力を広め、食を通じた国際理解の啓蒙を目指す。2020年内閣官房ホストタウン事業 郷土料理講師拝命。主な著書「世界の郷土料理辞典」(誠文堂新光社)2020年
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