イメージ写真_マリネの黄金比とおもしてなしにも使えるマリネレシピ

マリネ液の黄金比とおもてなしにも使えるマリネレシピ

お酢を使った定番料理のひとつ「マリネ」。マリネを作るために使うマリネ液は、どんな食材にも合う優れものです。そこで今回は、お酢好きで知られる料理家のワタナベマキさんに、マリネ液の黄金比とアレンジレシピを教えてもらいました。おもてなしが増えるこれからの季節に、活躍すること間違いなしです。

料理の幅を広げてくれるマリネ液

「マリネ」とは、お酢にオリーブオイル、砂糖、塩、ハーブや薬味を加えて作ったマリネ液に、食材を漬ける調理法や料理のこと。ワタナベさんによると、そのアレンジの幅はかなり広いのだとか。

「マリネ液に使うお酢は、定番の米酢はもちろん黒酢やりんご酢、赤ワインビネガーなど、どんなお酢でも大丈夫。風味付けに使うものも、ハーブや薬味系なら何でも合います。酸っぱいのが苦手なら、ゆずやレモンなどの柑橘系の果汁を加えると酸味がまろやかになっておすすめ。組み合わせ次第でいろんな楽しみ方ができるので、自分好みのマリネ液を探す楽しさがあります」(ワタナベさん)

調理工程_マリネ液を作っているところ

そんなマリネ液のいいところのひとつが、合わせる食材を選ばないこと。

「マリネ液はどんな食材も受け止めて、その食材の良さを引き出してくれます。野菜や魚介類、お肉にも合うので、副菜から主菜まで大活躍。基本のマリネ液のレシピを知っていれば、季節の野菜や香味を合わせて一年中マリネが楽しめますよ」(ワタナベさん)

ワタナベマキさん流「マリネ液」の黄金比

マリネ液に使う基本の材料は、お酢とオリーブオイル、砂糖、塩。さらにハーブや薬味で風味をプラスします。

ワタナベさんがマリネ液によく使うのは酒粕酢と、鹿児島産白米でできた黒酢。お酢特有のツンとした感じが少なく、甘みがあるのが特徴なのだとか。

「お酢を買う時は“酸度”をチェックしています。よく使う2つは酸度4.2%で、まろやかな酸味。すっきりとした酸味が欲しいときは、酸度4.5%のりんご酢や米酢を使います。酸味が苦手な人は、チェックしてみるといいかも」(ワタナベさん)

料理写真_ワタナベマキさんが作るマリネ液

いろいろな組み合わせができるマリネ液は、黄金比を覚えておくと失敗知らずに!

ワタナベさんが考えるマリネ液の黄金比

お酢(大さじ2):オリーブオイル(大さじ2):砂糖(小さじ1):(小さじ1/2)

調理工程_マリネ液の材料を混ぜ合わせているところ

「ポイントはお酢とオイルを同量にすること。オイルが多くなると少し油っぽくなり、酸味が物足りなくなります。同量にすることで、バランスよく仕上がるんです。基本のマリネ液は、冷蔵庫で1週間ほど保存も可能。そのままサラダドレッシングとしても使えます。ハーブや薬味は、使う前にプラスしてくださいね」(ワタナベさん)

おもてなしにもぴったり!「マリネ液」を使ったアレンジレシピ

お酢好きのワタナベマキさんに、マリネ液を使ったアレンジレシピを教えてもらいました。

「今回は酒粕酢と黒酢を使っていますが、これからの季節に増えるパーティーなどでは白ワインビネガーや赤ワインビネガーもおすすめ。白ワインビネガーならキリッとした味わいになり、香りも良くなります。赤ワインビネガーは酸味が少なめでコクのある仕上がりに。見た目もピンク色になって華やかですよ」(ワタナベさん)

ゆず果汁を加えて香り豊かに!れんこんと長ねぎのゆずマリネ

「基本のマリネ液にゆず果汁を加えることで、香りがすごく良くなるので、お酢が苦手な人にもおすすめ。冬は柑橘が手に入りやすいので、ゆず以外も試してみてください。グレープフルーツ果肉を入れてもおいしいと思いますよ」(ワタナベさん)

料理写真_れんこんと長ねぎのゆずマリネ

材料(作りやすい分量・3人分)

  • れんこん……150g
  • 長ねぎ……1本
  • ゆず果汁……大さじ1
  • 塩……少々
  • 酒……大さじ4(60g)
  • 基本のマリネ液……適量

食材写真_れんこんと長ねぎのゆずマリネの材料

栄養価(1人分)

    • エネルギー   147kcal
    • たんぱく質 1.5g
    • 脂質 8.1g
    • 炭水化物 13.2g
    • 食物繊維 1.9g
    • 食塩相当量 1.2g

作り方

1.れんこんは皮をむき、厚さ2mmの輪切りにして水にさらします。長ねぎは長さ5cmに切り、縦に2等分に切ります。フライパンに入れて塩少々をふり、酒を入れたら蓋をして中火にかけます。煮たったら弱火にして4分蒸し煮にします。

調理工程_れんこんを蒸し煮しているところ

2.1の汁気を軽くきったらボウルにうつします。基本のマリネ液を加えてあえ、最後にゆずの果汁を加えます。

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季節のお刺身で豪華に!たいとほたてのハーブマリネ

「たいやほたては、たこやいか、季節の魚介の刺身に変えても楽しめます。香り付けのバジルも、ドライハーブやスパイスにアレンジ可能です」(ワタナベさん)

料理写真_たいとほたてのハーブマリネ

材料(作りやすい分量・3人分)

  • たい(刺身用)……150g
  • ほたて(刺身用)……8個
  • 紫玉ねぎ……1/2個
  • バジルの葉……6枚
  • 粗びき黒こしょう……適量
  • 基本のマリネ液……適量

食材写真_たいとほたてのハーブマリネの材料

栄養価(1人分)

    • エネルギー 191kcal
    • たんぱく質 18.1g
    • 脂質 11.5g
    • 炭水化物 5.2g
    • 食物繊維 0.6g
    • 食塩相当量 1.5g

作り方

1.たいとほたては表面の水けをふき、それぞれ約2cm角に切ります。紫玉ねぎは縦に薄切りにして水に3分さらし、水けをきりペーパーでふきます。

2.バジルを細切りにし、基本のマリネ液に加えてあえます。

調理工程_細切りにしたバジルをマリネ液にあえている写真

3.1と2をあえ、器に盛りこしょうをふります。

調理工程_材料をマリネ液であえているところ

黒酢とごま油で中華風に!豚しゃぶと細ねぎの黒酢マリネ

「基本のマリネ液のお酢とオイルを、黒酢とごま油にチェンジ。さらに香り付けにはしょうがを使って、中国料理のような味わいに。こんな風にお肉と合わせれば、マリネは主菜にもなれるんです。肉料理がさっぱり食べられます」(ワタナベさん)

料理写真_豚しゃぶと細ねぎの黒酢マリネ

材料(作りやすい分量・3人分)

  • 豚ロース(しゃぶしゃぶ用)……150g
  • 細ねぎ……4本
  • しょうが……1かけ分(千切り)
  • 酒……大さじ1(15g)
  • 基本のマリネ液(お酢を黒酢に、オイルをごま油に変更)……適量

食材写真_豚しゃぶと細ねぎの黒酢マリネの材料

栄養価(1人分)

    • エネルギー 235kcal
    • たんぱく質 10.2g
    • 脂質 19.7g
    • 炭水化物 3.6g
    • 食物繊維 0.6g
    • 食塩相当量 1.0g

作り方

1.マリネ液は、黒酢大さじ2、ごま油大さじ2、砂糖小さじ1、塩小さじ1/2を合わせます。

調理工程_黒酢とごま油で作る中華風マリネ液を混ぜているところ

2.沸騰した湯に酒を入れ、豚肉を一枚ずつ加えて色が変わるまでゆでます。ざるに取り、水けをペーパーでおさえます。細ねぎは長めに、斜め切りにします。

3.1、2、しょうがをあえ、なじませます。

調理工程_材料をマリネ液であえているところ

 

文/山本 二季
撮影/梁瀬 岳志

料理家 ワタナベマキさん

グラフィックデザイナーを経て、料理家に転身。”日々食べるものを美味しく丁寧に”の想いのもと提案する、旬の食材を生かした料理や保存食、乾物料理に定評あり。雑誌や書籍、イベントなど幅広く活躍している。著書に『わたしの好きなお酢・レモンの料理』(家の光協会)、『ワタナベマキの梅料理』(NHK出版)など多数。