

だし酢の作り方|うまみUP&酸みまろやか、作り置き調味料
かつお節、昆布、煮干しなどの「だし」と「お酢」を合わせて作る調味料「だし酢」。作り置きができて、普段の料理に足すだけでうまみがアップします。だしの風味で酸みが和らぐから、お酢が苦手な方やお子さんにも取り入れやすい! そんなだし酢の作り方と家族みんなで楽しめるレシピを、料理研究家の小田真規子さんに教えていただきました。
だし酢の作り方
かつお節、昆布、煮干しなどの「だし素材」をお好みの「お酢」に2日ほど漬けておくだけなので簡単。おすすめのお酢はシンプルでだしの香りを邪魔しない「穀物酢」。酸みが苦手な方には「米酢」もおすすめ。穀物酢よりまろやかな味わいになります。
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<作り方>
1)フタ付きの保存容器と、お酢、だし素材を準備します。
2)保存容器にお酢とだし素材を入れ、冷蔵庫で2〜5日おきます。
だし素材によって味が出る時間は変わりますが、どれも2日目から使えます。
※長時間浸けておくと粘性が強くなったり苦みが出たりすることもあるので、5日以上おく場合は素材を取り出しましょう。取り出した素材は、煮物や炒め物にも使えます。
※金属製のフタの場合、フタに酢がつくと酸化するので注意して。この場合は、お酢をなみなみ入れず、使ったら都度フチを拭くか、ラップをしてからフタを閉めるようにしましょう。
【基本のだし酢】
サッと作れて、すぐに使える!|かつお節酢
材料
- 穀物酢……1カップ
- かつお節(パック)……5~10g(茶葉パックに入れる)
特徴・おすすめの使い方
パックのかつお節(削り節)は表面積が大きくなるようにカットされているので、お酢に入れて10分もすればだしが出ます。和風メニューをはじめ、酢の物やサラダ、お寿司、炒め物など、どんなものにも合います。
上品な香りとうまみの万能派|昆布酢
材料
- 穀物酢……1カップ
- 日高昆布(5×5㎝)……1~2枚
特徴・おすすめの使い方
甘みが出て、香りとうまみも上品。わずかながら食物繊維が溶け出し、長く浸けておくと粘度が増すので、素材にからみやすいのも特徴。酢の物、サラダ、お寿司、炒め物など、どんなものにも合いますし、他のだし酢と組み合わせてもOK。リーズナブルな昆布だと少しえぐみが出るので、日高昆布、利尻昆布、真昆布などがおすすめ。
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【応用のだし酢】
エスニック&アジアンな味わい|えび酢
材料
- 穀物酢……1カップ
- 干しえび……大さじ1
特徴・おすすめの使い方
唐辛子を加えれば、何でもエスニック風に。カピ(オキアミの発酵調味料)のような風味になります。だしが出やすく、香りが強い素材なので、味変にもぴったりです。
個性的な味わいにチャレンジしたいなら|煮干し酢
材料
- 穀物酢……1カップ
- 煮干し……5本(頭とワタは除く)
特徴・おすすめの使い方
かなり個性的な風味で雑みが出やすいので、ラーメンやチャーハン、エスニック料理などに合わせるのがおすすめ。合わせやすいのは脂多めの肉類など雑みのあるものですが、癖のある香りが好きなら野菜などさっぱりしたものに合わせても◎。
今回ご紹介いただいた4種のだし酢。どれを作るか迷う場合は?
「おうちの献立が和食メインの方なら、基本の2種(かつお節酢、昆布酢)どちらかでOK。変化を楽しみたい方、エスニックや中華メニューが好きな方は、応用の2種(えび酢、煮干し酢)も試してみてください」(小田さん)
まずはちょい足しからチャレンジ!
初めてだし酢を使う場合、他の調味料に混ぜるより、味が薄いときにつけ足すなど、味の変化を楽しむことから始めてみましょう。加熱すると風味が変わるので、そのまま使うのがおすすめ。
料理にちょっとずつかけて楽しむなら、カレーライスと炒め物がぴったりです。
カレーライス+だし酢
意外に思われるかもしれませんが、カレーライスはスパイスや脂肪分など、いろいろなうまみと香りがミックスされているので、ピクルスやかつお節をトッピングする感覚で試してみると◎。かつお節酢や昆布酢はシンプルですが、脂っぽさが減り、辛みが増します。えび酢や煮干し酢は、魚介系の風味が強くなるので、よりエスニックな味わいに。
野菜炒め+だし酢
炒め物も、かつお節やレモンをかけるのと同じ感覚で使えます。香りやうまみが増し、黒酢炒めや甘酢炒めのような仕上がりに。炒め物は食べ進めるうちに、お皿の下の方が味が濃くなるので、途中でだし酢をかけて中和してあげるのもおすすめ。基本のだし酢ならサッパリと、応用のだし酢なら八宝菜やアンチョビ炒めのような味わいになります。
だし酢初心者なら、和風ドレッシングに取り入れてみて。和風ドレッシングは、お酢にしょうゆとごま油を加えるものが一般的。少し変化が欲しくなったときに、ベースのお酢をだし酢にすれば簡単にオリジナルの和風ドレッシングが作れます。
家族で楽しむ だし酢活用レシピ
酸みがまろやかになるから、男性も子どもも食べやすい「だし酢」。家族で楽しめるだし酢活用レシピを紹介します。
だし酢ちらし寿司
一般的な酢飯を作る工程では、昆布を入れてご飯を炊き、塩と砂糖を入れた寿司酢を絡めます。でもだし酢を使えば、ご飯にかけるだけで昆布の香りとお酢の酸みがプラスでき、行程がグッと簡単に。
だしから塩みが溶け出し、お米の甘みも引き出されるので、塩と砂糖も不要です。うまみの塊である海苔とだし酢を組み合わせることで、うまみのトリプル効果が期待できますよ!
材料(2人分)
- 刺身(サーモン、まぐろ)……150g
- ご飯……300~350g
- きゅうり……1/2本
- だし酢……大さじ3~4
- Aしょうゆ……大さじ1
砂糖……小さじ1
練りわさび……小さじ1 - 海苔……全形1枚
- 青じそ……5枚
栄養価(1人分)※刺身(サーモン75g、まぐろ75g)、ご飯350g、昆布酢大さじ4の場合
- エネルギー 423 kcal
- たんぱく質 23.4 g
- 脂質 5.8 g
- 炭水化物 71.1 g
- 食物繊維 3.7 g
- 食塩相当量 1.6 g
作り方
1. きゅうりは千切り、青じそは細切りにします。
2. 刺身は大きければ半分に切り、Aを絡めて10分おきます。
3. 炊いたご飯を器に平らに盛り、だし酢を全体にふりかけます。
4. 海苔をちぎってちらし、1と2を彩りよく盛り付けます。混ぜながら食べましょう
おすすめのだし酢
昆布酢ならどんなお刺身にもOK。かつお節酢はまぐろや鮭など、かつおに似た魚がおすすめです。えびやイカ、タコなどはえび酢、のせる素材を肉系にすると煮干し酢も合います。さらにだし酢に加えて、ごま油と一味唐辛子を加えたら韓国風、オリーブオイルと角切りトマトなどを加えたらハワイ風のお寿司にも。具材をのせた後でも味が変えられるから、その日の気分でいろいろ楽しむことができます。
だし酢サラダ
だし酢としょうゆ、レモンを合わせるとポン酢のような味わいに。柑橘とお酢の酸味は質が違いますが、意外とケンカしません。お子さま用に、甘みを足したい場合はハチミツや砂糖を加えてもOK。いろんなだし酢で組み合わせができますよ。
材料(2人分)
- ベビーリーフ……30g
- グリーンリーフ……2~3枚(50g)
- ミニトマト……4個
- 紫玉ねぎ……1/4個
- お好みのオイル……大さじ1
- だし酢……大さじ1
- しょうゆ……小さじ1/2~1
栄養価(1人分)※ごま油、えび酢、えび酢につけていた干しえび(5g)を加えた場合
- エネルギー 79 kcal
- たんぱく質 1.4 g
- 脂質 6.1 g
- 炭水化物 5.0 g
- 食物繊維 1.5 g
- 食塩相当量 0.5 g
作り方
1. グリーンリーフは一口大にちぎり、紫玉ねぎは薄切りにします。
2. ボウルに張った冷水に、1とベビーリーフを20分浸けてパリッとさせます。
3. ミニトマトはヘタを取って横半分に切ります。
4. 十分に水気を切った1をボウルに入れ、オイル、だし酢、しょうゆの順にからめます。
5. 器に彩りよく盛り付けて完成。
おすすめのだし酢
今回はごま油とえび酢を合わせ、浸けていた干しえびを刻んでかけました。ナンプラーなしでエスニックな風味に仕上がります。かつお節酢や昆布酢にオリーブオイルを合わせ、しょうゆを塩に変えると、だしの香りがよりストレートに感じられます。
ワンポイント!だし酢のいいところ
ふだんから昆布とかつお節を入れた「だし酢」を常備しているという料理研究家の小田真規子さん。最後に小田さんが考える、だし酢のメリットを教えていただきました。
1.お酢とだしの相乗効果でうま味アップ
発酵食品であるお酢は、発酵中に醸し出されるうま味成分があります。そこにだしを加えると、昆布のグルタミン酸や、かつお節のイノシン酸など、お酢の中でうま味の種類が増えて、さらにおいしくなる相乗効果が生まれます
2.余分な塩分をとらなくていい
だし素材のかつお節や昆布などの海産物には、わずかですがナトリウムが含まれています。浸けておくとお酢の中にナトリウム(塩分)が溶け出すので、ほんのり塩気を感じられます。また、お酢には料理の塩気や甘みを引き立てる効果があるので、塩やしょうゆなどの塩分の多い調味料を控えてうす味にしても満足感を得られます。
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3.お酢の酸味が和らぐ
お酢にだしのうま味と香りが溶け出すことで、酸味がまろやかになります。酸味が苦手な男性やお子さまにも昆布や煮干しの香りは好まれることが多いのでご家庭で使いやすいです。
4.作り置きも即席もOKな汎用性の高さ
作っただし酢は冷蔵庫なら1カ月ほど保存でき、量が減ってきたらお酢を足してもOK。かつお節や昆布の端をお酢に入れて20分ほどおくだけでもだしが出るので、使いたい時にすぐにできるのもいいところです。
5.だし×お酢料理が手軽に作れる
例えば二杯酢や三杯酢を上品で優しい味にする時に、だし汁でのばすことがあります。そのためだけにだしを取るのは、ちょっと面倒。それならお酢に直接だし素材を入れてしまって、あとから水で伸ばしたほうが手間はかかりません。
文/山本 二季
撮影/梁瀬 岳志
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