世界のうまずっぱい料理|フランス編 チキンフリカッセ リヨン風

フランス南東部のオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏の首府でもあるリヨンは、ブルゴーニュのワインや、風味のいい肉質で名高いシャロレー牛、ブレス鶏など、周囲をおいしい食材に恵まれたフランスでも指折りの美食の街です。
フランスにはリヨネーズ・ポテトやサラダ・リヨネーズなど「リヨネーズ(リヨン風)」と冠した料理がいくつもありますが、この「チキンフリカッセリヨン風(プーレ・オ・ヴィネーグルとも)」もまた、リヨンの郷土料理として名高い一品。この地が生んだ偉大なシェフ、ポール・ボキューズのおはこ料理のひとつでもありました。
作り方の基本は、鶏肉の表面をフライパンでこんがりと焼き、酢を加えて調理します。昔は酢の代わりに、未熟なぶどうの酸っぱい果汁を使っていたとか。現代的なレシピでは、生クリームと酸味が強いトマトソースを使いますが、トマトソースを省いたり、仔牛とにんにくのだしを加えたりと、バリエーションは多様です。
ところで、1985年にはフランスの著名なクロード・シャブロル監督が『Cop au Vin』(コック・オー・ヴァン=雄鶏の赤ワイン煮込みのもじり。フランス語の原題はその名も『プーレ・オ・ヴィネーグル』)という映画を製作したことがありました。プーレー=鶏には「警官」という俗語があり、駄洒落でつけたタイトルだったそうです。

POINT

ジューシーな鶏肉と、クリーム入りの酢とトマトの酸味がよく合います。手羽元などの骨付き肉など、どの部位でもおいしく作れます。

 

鶏肉……300g
玉ねぎ……1/2個(みじん切り)
にんにく……1かけ(皮をむいてつぶす)
バター……5g
オリーブオイル……小さじ1/2

A
塩……少々
こしょう……少々
りんご酢……40ml
鶏がらスープ……50ml(粉末または固形を水に溶かして作る)
水……50ml

B
マスタード……大さじ1/2
トマトペースト……25g(トマトピューレ3倍量、カットトマト缶6倍量で代用可)
生クリーム……40ml

タラゴン(あれば生葉。月桂樹の葉で代用可)……1~2本 

<添え物>
白いごはん、またはじゃがいも(ゆでたもの、またはフライドポテト)


フライパンにバターとオリーブオイルを入れて熱し、鶏肉を加えてきつね色になるまで焼く。いったん取り出す。


1の油を鍋に移し、玉ねぎ、にんにくを炒めて、1の鶏肉を戻し入れる。


2にAを入れて、10分煮込む。


小さなボウルにBを入れて混ぜ合わせ、3の鍋に加えて混ぜる。弱火で30分煮込む(途中で様子を見ながら水を加え、鶏肉が焦げ付かないようにする)。


4にタラゴンを加えてさっくりと混ぜ、少し火を通す。味を見て必要あれば塩を足す。


5の鶏肉を皿に盛り付けてソースをかけ、白いごはんまたはじゃがいもを添える。