穀物酢のきほん|米酢・調味酢とどう違う?特徴×おすすめレシピ3選

お酢の代表格ともいえる「穀物酢」。常備されているご家庭も多いのではないでしょうか。穀物酢はその名の通り、原料に米や麦、とうもろこしなどの「穀物」を使用しているお酢のことですが、ほかの種類のお酢との違いや特徴は知らずに使っているという方も多いのではないでしょうか。 ここでは、「穀物酢」の特徴やそれを生かした調理法、おすすめレシピをご紹介します。

穀物酢のきほん①:穀物酢の原料・製法

「穀物酢」は、米や麦、粟、麦芽、トウモロコシなどの穀物を一定量以上(1リットル中40g以上)使用しているお酢を指します。原料は「1種類のみ」、「複数混合」どちらの場合もあります。「穀物酢」の中でも「米酢」は「米」を、黒酢は原料に「玄米」を一定量以上使用しているお酢のことを指します。


農林水産省 日本農林規格(JAS0801)

穀物酢のつくり方

穀物酢は「デンプンの糖化」、「糖のアルコール発酵」、「酢酸発酵」の大きく3つの工程で製造されています。デンプンの糖化とは、原料の麦などの穀類に酵母を加えて、デンプンを糖に変えること。糖化を経てアルコールへと変わり、酢酸発酵を行います。酢酸発酵とは種酢を混ぜ合わせて加温すること。種酢の中にある酢酸菌のチカラによって、原料であるアルコール成分が、お酢の主成分である酢酸に変わります。

その後、お酢の味を整えるため1ヶ月程度じっくり寝かせて熟成、お酢の香りや味などをそこなわないよう、ろ過・殺菌を行うことで完成します。

穀物酢のきほん②:特徴〜ほかのお酢とどう違う?〜

特徴1.しっかりとした酸味

お酢といえば「酸味」のある調味料ですが、実は種類によって酸味の度合いは異なります。「穀物酢」はキリッとした酸味が特徴。油っこい炒め物をさっぱり仕上げたいときや、サラダや和え物といった酸味を効かせたい料理に使うのがおすすめです。

特徴2.加熱しても酸味が飛びにくい

加熱しても酸味が飛びにくいところも魅力。煮物や炒め物、スープなどの加熱料理で酸味を効かせたいときにもピッタリです。

特徴3.クセがなくすっきりした風味

他のお酢と比べてクセがないのも特徴のひとつ。素材の味を邪魔しないので、和洋中どんな料理にも合わせやすいだけでなく、ドリンクや麺類のつゆに合わせてもおいしくいただけます。

米酢との違い

「米酢」と「穀物酢」の違いや適した調理法を知りたい方は多いのではないでしょうか。米酢は穀物酢の一種ですが、中でも「米」を主原料として一定量(穀物酢1リットルにつき40g以上)使用しているもの。まろやかで甘みのある味わいが特徴です。穀物酢より酸味がまろやかなので、お酢が苦手な方でもとり入れやすいでしょう。酢飯はもちろん、スープやカレー、炒めものに加えるのもおすすめです。

【番外編】調味酢と穀物酢

よく似ているものとして、すし酢などの調味酢が挙げられますが、成分・使用用途が異なります。調味酢は「穀物酢(醸造酢)」に醤油、砂糖、香辛料等を加えて味を調製したもの。甘みがあるためツンと鼻を突くような酸味がなく、料理をまろやかにしてくれます。また、醤油や砂糖が入っているので、調味料を加える必要がなく、時短調理にもなるのが特徴です。

穀物酢の特徴✕おすすめの調理法✕穀物酢レシピ

①穀物酢の「酸味」を生かす1:酢ープ

ほかのお酢に比べて、加熱しても酸味が飛びにくいので、すっぱうま〜を感じられるスープには穀物酢が一番!

穀物酢deすっぱうまミネストローネ
温かくても冷たくしてもおいしい。野菜のうま味が引き立つ具だくさんスープ

【材料(4人分)】

・玉ねぎ…中1個(180g)
・キャベツ…約1/8個(150g)
・かぼちゃ…1/12個(100g)
・なす…1本(80g)
・ブロックベーコン…80g

・オリーブ油…大さじ1(12g)

<A>
・トマト水煮…300g
・穀物酢…大さじ1と1/3(20g)
・顆粒コンソメ…大さじ2/3(6g)
・粗びき黒こしょう…少々
・水…1カップ(200ml)
※にんじん、トマト、じゃがいもなど、冷蔵庫にある他の野菜でもおいしく作れます。

【作り方】
(1)具材はすべて1cm角くらいに切ります。

(2)鍋にオリーブ油を入れて弱中火にし、具材を加えて玉ねぎが透き通るまでじっくりと炒めます。

(3)2にAを加えて、ときどきかき混ぜながら15分ほど煮込んだら出来上がりです。

【栄養価(1人分)】
エネルギー…143kcal
たんぱく質…5.5g
脂質…7.3g
炭水化物…16.6g
食物繊維…3.6g
食塩相当量…1.2g

②穀物酢の「酸味」を生かす2:サラダ

しっかりとした酸味を生かして、簡単ドレッシングに

キウイとズッキーニの穀物酢フレンチサラダ
穀物酢×フルーツで素材のおいしさを増し増し

【材料(2〜3人分)】
・キウイフルーツ(緑・黄色)…各1個(合わせて160g)
・ズッキーニ…1本(100g)
・ベビーリーフ…1袋(30g)
・クリームチーズ(キューブ)…2個(30g)

<ドレッシング>
・穀物酢…大さじ1と1/3(20g)
・オリーブ油…大さじ2/3(8g)
・砂糖…小さじ1/2(1.5g)
・塩…小さじ1/4(1.5g)
・粗びき黒こしょう…少々

【作り方】
(1)ドレッシングを作ります。オリーブ油以外の材料を混ぜ合わせてから、少しずつオリーブ油を加えて乳化させます。
※乳化させると、口当たりが滑らかになり、油っぽさを感じません。

(2)キウイフルーツは皮をむき、1cm角に、ズッキーニも同じ大きさに切ったらボウルに入れ、1のドレッシングであえます。

(3)クリームチーズは、1cm角に切ります。

(4)器にベリーリーフ、2の順で盛り、(3)を散らしたら出来上がりです。

【栄養価(1人分)】※栄養価は3人分として算出。
エネルギー…97kcal
たんぱく質…2.1g
脂質…6.1g
炭水化物…9.7g
食物繊維…1.8g
食塩相当量…0.6g

③穀物酢の「クセのなさ」を生かす:ドリンク

穀物酢といえばクセのなさも特徴の1つ。ドリンクによく合います

ソルティドック風酢サワー

クセがないスッキリした酸味で飲みやすい!熱中症対策の塩分補給にも

【材料(2人分)】
・グレープフルーツジュース(果汁100%)…200ml
・強炭酸水…200ml
・穀物酢…大さじ1(15g)〜
・氷…適量
・岩塩…適量
・ミント(あれば)…適量

【作り方】
(1)グラスの縁をぬらして、岩塩を付けます。※レモン汁やグレープフルーツジュースでぬらすと岩塩がよく付きます。

(2)グラスに氷を入れて、グレープフルーツジュースを注ぎ、その上にそっと炭酸、穀物酢を注ぎ、あればミントを飾ります。

【栄養価(1人分)】
エネルギー…41kcal
たんぱく質…0.7g
脂質…0.1g
炭水化物…9.0g
食物繊維…0.2g
食塩相当量…0.3g

※栄養価は文部科学省/日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より算出