世界のうまずっぱい料理|スペイン編 豚ロース肉のアドバード

ヨーロッパ南部のイベリア半島の半分以上を占めるスペインは、地方ごとに風土や雰囲気が異なる多様性が特徴的。冬は雪深いピレネー山脈に面した北部地方ごとに特色があります。
そんな中で、オリーブオイルやにんにく、パプリカ(粉)をよく使い、またイベリコ豚に代表されるように豚肉の品質に誇りを持ち、料理にもよく使うことがスペイン全土でおおむね共通しています。
「豚肉のアドバード」(アドボ=マリネ、特に酢に漬ける調理方法)は、そんな食材の数々を余すところなく使った、スペインらしい料理。酢とにんにくの効果や、パプリカ粉の赤い色で食欲も増します(パプリカ粉を省いてもおいしく作れます)。日本のとんかつ用の厚切り肉をマリネしてから焼いてそのまま食べてもいいし、塊肉を同様に調理してから薄切りし、野菜と一緒にサンドイッチの具にしてもおいしくいただける一品です。
スペインがアメリカ大陸や太平洋の島々などに進出した際には、高温の熱帯地方でも保存できるアドボの調理方法が重宝されました。酢とともに、パプリカの成分であるカプサイシンの抗酸化作用が保存に効果的だったのです。一方フィリピンでは、先住民の調理方法を受け継いだパプリカ粉を使わない独自の「アドボ」が誕生しました。

POINT

フィリピンなどの酢漬け肉料理「アドボ」のスペイン版。酢のマリネに漬けることで肉がやわらかくなり、さっぱりした酸味により風味も増して、食欲も進みます。塊肉をオーブンで焼いてカットする方法もあります。

豚ロース肉……200g(2枚)
オリーブオイル……大さじ1/2

A
パプリカ粉……大さじ1/2(なければ省く)
乾燥オレガノ……大さじ1/2
ガーリックパウダー……小さじ1/2(にんにくチューブまたはすりおろしたにんにくを小さじ1/4でもよい)
黒こしょう……ひとつまみ
塩……小さじ1/4
オリーブオイル……大さじ2
穀物酢または白ワインビネガー……大さじ2


ボウルにAを入れて混ぜ合わせ、豚ロース肉をマリネする。冷蔵庫に一晩置く。


フライパンにオリーブオイルをひき、1のマリネした肉を片面ずつ焼く。フォークとナイフで切って食べる。